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東京地方裁判所 昭和63年(わ)128号 判決

本店所在地

東京都渋谷区道玄坂一丁目一五番三号

株式会社サンユートレーディング

(右代表者代表取締役 丹羽芳男)

本店所在地

東京都渋谷区道玄坂一丁目一五番三-九一四号

有限会社ビューラ

(右代表者取締役 丹羽芳男)

本籍

兵庫県神戸市長田区北町二丁目一四番地

住居

東京都世田谷区野沢二丁目三三番一七号

会社役員

丹羽芳男

昭和八年六月一〇日生

右の者らに対する法人税法違反、被告人有限会社ビューラ及び被告人丹羽芳男に対する薬事法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官井上經敏、同伊藤恒幸出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社サンユートレーディングを罰金三〇〇〇万円に、被告人有限会社ビューラを罰金二〇〇〇万円に、被告人丹羽芳男を懲役二年六月にそれぞれ処する。

被告人丹羽芳男に対し、この裁判の確定した日から五年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社サンユートレーディング(以下「被告会社サンユートレーディング」という。)は、東京都渋谷区道玄坂一丁目一五番三号に本店を置き、加工食品及び農畜産物の輸出入及び販売等を目的とする資本金一〇〇万円の株式会社、被告人有限会社ビューラ(以下「被告会社ビューラ」という。)は、同都渋谷区道玄坂一丁目一五番三-九一四号に本店を置き、加工食料品の販売を目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告人丹羽芳男(以下「被告人丹羽」という。)は、右被告会社サンユートレーディングの代表取締役及び被告会社ビューラの実質経営者たる取締役として両社の業務全般を統括していたものであるが、被告人丹羽は、

第一  被告会社サンユートレーディングの業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

一  昭和五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が四〇〇八万八四三円あった(別紙一の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五八年二月二八日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税の確定申告書(昭和六三年押第四九六号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一五八〇万六一〇〇円(別紙一の(2)脱税額計算書参照)を免れ

二  昭和五八年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が七三二四万五七九五円あった(別紙二の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五九年二月二九日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税の確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二九七〇万四〇〇〇円(別紙二の(2)脱税額計算書参照)を免れ

三  昭和五九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一億二三九六万一一九五円あった(別紙三の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和六〇年二月二八日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五六七万八五八二円でこれに対する法人税額が一五五万一五〇〇円である旨の虚偽の法人税の確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五二四〇万七六〇〇円と右申告税額との差額五〇八五万六一〇〇円(別紙三の(2)脱税額計算書参照)を免れ

第二  被告会社ビューラの業務に関し、法人税を免れようと企て、前同様の方法で所得を秘匿したうえ

一  昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が五六八七万八八三二円あった(別紙四の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五八年一〇月二六日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三四一万四三二七円でこれに対する法人税額が一〇〇万九七〇〇円である旨の虚偽の法人税の確定申告書(同押号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二二九一万四三〇〇円と右申告税額との差額二一九〇万四六〇〇円(別紙四の(2)脱税額計算書参照)を免れ

二  昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が七五八九万四五四五円あった(別紙五の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和五九年一〇月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇八四万三一四三円でこれに対する法人税額が三四七万六二〇〇円である旨の虚偽の法人税の確定申告書(同押号の5)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三一五六万七三〇〇円と右申告税額との差額二八〇九万一一〇〇円(別紙五の(2)脱税額計算書参照)を免れ

三  昭和五九年九月一日から昭和六〇年八月三一日までの事業年度における同会社の実際所得金額が二九〇三万八六三八円あった(別紙六の(1)修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和六〇年一〇月二九日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六八三万二一六六円でこれに対する法人税額が一九七万四一〇〇円である旨の虚偽の法人税の確定申告書(同押号の6)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一一三八万七七〇〇円と右申告税額との差額九四一万三六〇〇円(別紙六の(2)脱税額計算書参照)を免れ

第三  被告会社ビューラの業務に関し、薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けず、かつ、法定の除外事由がないのに、業として別紙七販売一覧表記載のとおり、昭和六一年八月一日ころから昭和六二年一月一六日ころまでの間、前後八三回にわたり、同表「販売場所・方法等」欄記載の場所において、栗田安吉ほか三名に対し、同欄記載の手段方法で、高血圧、糖尿病、ガンなど人の疾病の治療又は予防に使用されることが目的とされた医薬品である「ロイヤルミックス」(一箱三〇包入り)合計五一一二箱、「ビューラベル」(一瓶一〇〇カプセル入り)合計一八二四瓶、「ジェム」(一瓶六〇カプセル入り)合計一三三〇瓶及び「マサビエル80」(一瓶四〇〇ミリリットル入り)合計九〇瓶を代金合計一八九三万九〇〇〇円で販売したものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人丹羽の当公判廷における供述

判示第一、第二の事実につき

一  被告人丹羽の検察官に対する供述調書六通〔昭和六三年一月二〇日付(以下作成年月日については63・1・20のごとく表記する。)、63・1・22付(六枚綴りのもの)、63・1・26付、63・1・27付、63・1・28付(四枚綴りのもの)、63・2・1付)

一  丹羽駿典〔62・12・10付、63・1・16付、63・1・19付、63・1・25付、63・1・26付(三四枚綴りのもの)〕、船津文子、石川直子(二通)、渡邊日出、比嘉和子(三通)、野田美智子、神元智子、小川隆吉、枝村高光(63・1・23付)、高橋宏幸(被告人丹羽の関係のみの証拠)の検察官に対する各供述調書

判示第一の事実につき

一  被告人丹羽の検察官に対する供述調書三通〔63・1・22付(七枚綴りのもの)、63・1・24付、63・1・29付(「(株)サンユートレーディングの決算」で書き出したもの)〕

一  丹羽駿典(62・11・12付)、五十嵐隆司、鈴木一正、枝村高光(63・1・25付)の検察官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の昭和六三年一月三一日付左記各捜査報告書

(1)  売上について

(2)  給料手当について

(3)  支払手数料について

(4)  接待交際費について

(5)  旅費交通費について

(6)  通信費について

(7)  消耗品費について

(8)  地代家賃について

(9)  水道光熱費について

(10)  新聞図書費について

(11)  事務用品費について

(12)  修繕費について

(13)  雑費について

(14)  受取利息について

(15)  事業税認定損について

一  収税官吏作成の左記各調査書

(1)  仕入調査書(記録第二〇八号)

(2)  仕入諸掛調査書(記録第二〇九号)

(3)  支払利息割引料調査書(記録第二一五号)

(4)  繰越欠損金控除額調査書(記録第二一六号)

一  渋谷税務署長作成の証明書(渋法第六〇号)

一  検察事務官作成の昭和六三年三月八日付捜査報告書

一  収税官吏作成の昭和六一年二月一三日付領置てん末書(記録第六七号のもの)

一  押収してある法人税の確定申告書((株)サンユートレーディング・57/12期)一袋(昭和六三年押第四九六号の1)、同法人税の確定申告書(右同・58/12期)一袋(同押号の2)、同法人税の確定申告書(右同・59/12期)一袋(同押号の3)

判示第二の事実につき

一  被告人丹羽の検察官に対する供述調書三通〔63・1・21付、63・1・29付(「(有)ビューラの決算申告の状況に」で書き出したもの)、63・1・28付(九枚綴りのもの)〕

一  丹羽駿典〔五通(62・9・1付、62・9・9付、63・1・22付二通、63・1・26付-二七枚綴りのもの)〕、日隈孝安(63・1・13付)、井出逞(二通)、枝村高光(63・1・27付)の検察官に対する各供述調書

一  検察事務官作成の昭和六三年二月一日付左記各捜査報告書

(1)  売上について

(2)  仕入について

(3)  給料手当について

(4)  接待交際費について

(5)  事業税認定損について

一  収税官吏作成の左記各調査書

(1)  広告宣伝費調査書(記録第二三四号)

(2)  役員賞与損金不算入額調査書(記録第二四七号)

一  渋谷税務署長作成の証明書(渋法第六一号)

一  東京法務局渋谷出張所登記官作成の有限会社ビューラの商業登記簿謄本

一  収税官吏作成の昭和六一年二月一三日付領置てん末書(記録第六九号のもの)

一  押収してある法人税の確定申告((有)ビューラ・58/8期)一袋(同押号の4)、同法人税の確定申告書(同・59/8期)一袋(同押号の5)、同法人税の確定申告書(同・60/8期)一袋(同押号の6)

判示第三の事実につき

一  被告人丹羽の司法警察員(五通)、検察官(63・2・23付)に対する各供述調書

一  丹羽駿典、荒井京子(二通)、渡邊日出(二通)、落合仁美(二通)、藤田千恵子(二通)、五十嵐隆司、小泉敬子(二通)、小石堅司、千葉香、日隈孝安(六通)、栗田安吉(三通)、松本美代子、宇野カネ子、佐々木外治(四通)、黒川忠二、金野善九郎、菅原久子、小牟田博紀(四通)、井出逞(二通)、櫻井君枝、関正次、遠藤聰、森重福美、杉山静子、黒田俊、黒沢春記、坂本まさ子、中山秀英、山崎澄子、杉田シズ江、杉田啓一郎、宗方二三夫、平田久男、江川常三郎、鶴岡五十子、中村正寿、安達昌明、木村真一郎、石井良子、佐藤瑞龍、金英雄、小紫誠、山本美枝子、藤川洋子、原英三、清水節子、伊原博之、佐藤徹、竹内勇治、渡井治、松実正良、鈴木一正、齋藤興吉、鳥羽潤、森山光夫、宮崎俊之、稲葉昭典、北岡英雄、斎藤博一、金丸利秋、柳澤透、石渡昇の司法警察員に対する各供述調書

一  荒井京子、日隈孝安(二通-63・2・9付、63・2・26付)、佐々木外治の検察官に対する各供述調書

一  司法警察員作成の62・6・23付販売促進資料等分析結果報告書

一  司法警察員作成の62・5・8付、62・5・12付、62・5・18付、62・7・9付各証拠品分析結果報告書

一  司法警察員作成の62・6・9付電話聴取報告書

一  司法警察員作成の62・9・17付証拠品(ビデオテープ)分析報告書

一  司法警察員作成の62・10・2付書籍内容比較分析結果報告書

一  司法警察員作成の62・10・22付資料入手報告書

一  東京都衛生局薬務部長作成の62・3・27付「捜査関係事項照会について(回答)」と題する書面

一  司法警察員作成の63・2・18付捜査報告書

一  厚生省薬務局監視指導課長作成の62・5・18付「薬事法上の疑義について(回答)」と題する書面

一  東京都南部薬事衛生事務所長作成の63・4・22付及び62・4・13付各「捜査関係事項照会について(回答)」と題する書面

一  厚生省薬務局審査第二課長作成の62・4・13付「捜査関係事項照会について(回答)」と題する書面

一  押収してあるマサビエル80(化粧箱入りのもの)五個(同押号の7)、同ビューラベル(化粧箱入りのもの)五個(同押号の8)、同ジェム(化粧箱入りのもの)五個(同押号の9)、同ロイヤルミックス(化粧箱入りのもの)五個(同押号の10)、同書籍五冊(同押号の11)

(法令の適用)

被告会社サンユートレーディングの判示第一の各所為は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状によりそれぞれ同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額の範囲内において被告会社サンユートレーディングを罰金三〇〇〇万円に処し、被告会社ビューラについては、判示第二の各所為は、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状によりそれぞれ同法一五九条二項を適用し、判示第三の所為は、包括して薬事法八九条、八四条五号、二四条一項に該当するところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額の範囲内で被告会社ビューラを罰金二〇〇〇万円に処し、被告人丹羽については、判示第一の各所為及び同第二の各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に、判示第三の所為は、包括して薬事法八四条五号、二四条一項にそれぞれ該当するところ、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により、刑及び犯情の最も重い判示第一の三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人丹羽を懲役二年六月に処し、同被告人に対しては、後記情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から五年間右刑の執行を猶予することとする。

(量刑の理由)

本件は、加工食品・農畜産物の輸出入及び犯罪等を目的とする被告会社サンユートレーディングの代表取締役であり、かつ、加工食品の販売を目的とする被告会社ビューラの実質経営者たる取締役として両会社の業務全般を統括していた被告人丹羽が、両会社の各業務に関して各会社の法人税を免れようと企て、各被告会社の売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により各所得を秘匿したうえ、被告会社サンユートレーディングの三事業年度分の法人税合計九六三六万円余(判示第一の一ないし三)並びに被告会社ビューラの三事業年度分の法人税合計五九四〇万円余(同第二の一ないし三)をほ脱し、更に、被告会社ビューラの業務に関し、薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けず、法定の除外事由がないのに、昭和六一年八月一日頃から昭和六二年一月一六日頃までの間、前後八三回にわたり、栗田安吉らに対し、高血圧・糖尿病・ガン等人の疾病又は予防に使用されることが目的とされたロイヤルミックス等の医薬品合計八三〇〇点余を代金合計一八九三万九〇〇〇円で販売した(同第三)という事案であって、法人税法違反にあっては、被告会社両社のほ脱税額が高額であり、ほ脱税率も被告会社サンユートレーディングにおいては平均九八・四パーセント、被告会社ビューラにおいても平均九〇・二パーセントにも及んでおり、その各犯行の動機は、被告人丹羽が両被告会社において製造販売しているロイヤルミックス等が健康食品とは称しながらも薬事法に抵触するものと認められることから、薬事法違反として摘発され、右商品の製造販売が出来なくなるとの事態に備えて資金を蓄えておこうというもので、何ら酌むべき点はなく、その所得秘匿の手段・方法は、両被告会社とも売上除外の方法によるところ、被告会社サンユートレーディングにおいては、売上を除外するにあたり、簿外売上に対応する仕入につき、仕入先から仕入数量を実際量の二分の一に仮装した請求書・納品書を徴したり、実体のない株式会社バイタマープロダクツ名義の請求書や納品書を作成して売上が同社に帰属するかのごとく装い、被告会社ビューラにあっては、特約店及び一般顧客に対する売上除外の事実を隠すため被告会社サンユートレーディングからの仕入を簿外で行うなどしていたもので大胆かつ巧妙であり、また、両被告会社は、現在に至るまでの本税及び附帯税を完納していない。一方、被告人丹羽及び被告会社ビューラの薬事法違反にあっては、被告人丹羽は、かねてより、自著にかかる「ゲルマニウムで現代病は治る」、「糖尿病の八〇パーセントは治る」などといった書籍や、全国各地を巡回しての多数回に及ぶ講演などを通じて本件医薬品の効能を宣伝・販売し、特に昭和六〇年一二月に本件商品の販売が薬事法に違反する旨の行政指導を受けながら被告会社ビューラにおいてその販売を続けて本件犯行に及んだもので、医学に対する知識に乏しく、いわゆる「現代病」に苦しむ多くの人の悩みにつけ込んだ巧妙な犯行であり、その販売数量は多量で、販売期間も長期に及んでいる。右のごとき本件各犯行の動機、経緯、態様に、その各罪質を併せ考えると犯情は悪質で、被告人丹羽及び両被告会社の刑責は重いといわなければならない。

しかしながら、被告人丹羽は、いわゆる「現代病」あるいはその治療方法についての同人の意識の点はともかく、本件医薬品の販売が薬事法に違反するものであることは認めてその販売を止め、以後これを販売しない旨誓っていること、本件ほ脱にかかる法人税については、被告人丹羽らにおいて修正申告手続きをとったものではないが、差押にかかる有価証券の取立てなどの方法により被告会社サンユートレーディングについては一億九〇〇万円余が、被告会社ビューラについては一七〇〇万円余が徴収されていること、両被告会社のその余の本税・附帯税については、被告会社サンユートレーディング所有名義のマンション二室を売却して納付するとの意向を表明していること、被告人丹羽にはこれまで前科や犯歴がないこと、被告人丹羽の家庭の状況等、弁護人指摘の被告人丹羽、両被告会社のために有利な、または、同情すべき事情も認められる。

以上の諸情状を総合勘案すると、両被告会社に対しては主文掲記の各罰金刑を科するのが相当であり、被告人丹羽に対しては、直ちに実刑に処するよりは、長期間その懲役刑の執行を猶予し、自力更生を期することとしてそれぞれ刑の量定をした次第である。

(求刑 被告会社サンユートレーディングにつき罰金三〇〇〇万円、被告会社ビューラにつき罰金二〇〇〇万円、被告人丹羽につき懲役二年六月)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 稲田輝明 裁判官 中野久利 裁判官 中村俊夫)

別紙一の(1) 修正損益計算書

株式会社サンユートレーディング

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

〈省略〉

別紙一の(2) 脱税額計算書

株式会社サンユートレーディング

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

〈省略〉

別紙二の(1) 修正損益計算書

株式会社サンユートレーディング

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

〈省略〉

別紙二の(2) 脱税額計算書

株式会社サンユートレーディング

自 昭和58年1月1日

至 昭和58年12月31日

〈省略〉

別紙三の(1) 修正損益計算書

株式会社サンユートレーディング

自 昭和59年1月1日

至 昭和59年12月31日

〈省略〉

別紙三の(2) 脱税額計算書

株式会社サンユートレーディング

自 昭和59年1月1日

至 昭和59年12月31日

〈省略〉

別紙四の(1) 修正損益計算書

有限会社ビューラ

自 昭和57年9月1日

至 昭和58年8月31日

〈省略〉

別紙四の(2) 脱税額計算書

有限会社ビューラ

自 昭和57年9月1日

至 昭和58年8月31日

〈省略〉

別紙五の(1) 修正損益計算書

有限会社ビューラ

自 昭和58年9月1日

至 昭和59年8月31日

〈省略〉

別紙五の(2) 脱税額計算書

有限会社ビューラ

自 昭和58年9月1日

至 昭和59年8月31日

〈省略〉

別紙六の(1) 修正損益計算書

有限会社ビューラ

自 昭和59年9月1日

至 昭和60年8月31日

〈省略〉

別紙六の(2) 脱税額計算書

有限会社ビューラ

自 昭和59年9月1日

至 昭和60年8月31日

〈省略〉

別紙 七 販売一覧表

〈省略〉

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